社長の想いを明文化する
経営者の中には、経営理念を作ったにもかかわらず、それが従業員になかなか浸透しないといって悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。私もそうでした。ところが、『LR
HEART』を創り、それを実施することで、ようやく悩みが解消されたのです。
経営理念等を作る目的は、そこで働く人たちの価値観を統一することです。そして、価値観を統一することで得られるメリットは、組織としてより大きな力が発揮できるということです。
学校で習った「ベクトル」を思い出してみてください。そのベクトルと同じで、人の力というのは「大きさ」と「向き」を持っています。みんなの力の向きが異なるよりも同じであるほうが、より大きな力となるのです。
経営理念であれ、『LR HEART』であれ、いずれもその企業としての価値観を言語化・明文化したものであり、これらが価値観の統一にもっとも貢献すると思います。おそらく、それらを作るのに「これ」といった決まりはありません。とはいえ、単にそれらを作っただけではうまくいかないでしょう。
私の場合は、まずネーミングにこだわりました。どこにでもあるような「経営理念」「ミッションステートメント」といった一般的な呼び方は避けたのです。あくまで『LR HEART』という固有名詞にしました。オリジナルな名称にしたほうが、その存在をメンバーから唯一無二の特別なものに感じてもらえるのではないかと思ったからです。それに加えて、「ブランディング」も意識していました。「『LR HEART』といえば、ライブレボリューションの価値観をまとめたカード」と認知してもらえるようにしたかったのです。
次に書き方ですが、大枠こそリッツ・カールトンの『クレドカード』をお手本にしたものの、そっくりそのまま真似したわけではありません。ライブレボリューションに必要だと思う書き方にカスタマイズしています。「企業理念」「経営理念」「宇宙一へのコンセプト」といった部分は私が追加しました。
そして、一般的な経営理念と『LR HEART』の作り方で大きく異なるのが、そこに書かれている内容の決め方です。おそらく、経営理念等を決める際には役員やプロジェクトチームのメンバーで検討を重ねると思います。ところが、『LR HEART』の場合には、誰にも相談せず、すべて私独りで作って決めました。
「経営メンバーにくらい相談してもよいのではないか」という意見もあるでしょう。しかし、社長は最高責任者であり、最終意思決定者です。その社長が考えに考え抜いて作ったものであれば、それに従うのが周りの人たちの務めではないでしょうか。
それまで経営理念のなかった会社であれば、「これから経営理念をまとめよう」といって、トップは、他の経営メンバーたちや経営企画室のメンバーたち、そしてそのために立ち上げられたプロジェクトチームのメンバーたちに経営理念の作成を命じるかと思います。そして、その会社の従業員の誰もが(あるいは、大半の人たちが)共有しているであろう価値観を内容に盛り込むのではないでしょうか。
ところが、このようにして作られたものでは、決して価値観を統一することはできません。まず間違いなく、そこの会社の社長ですら、その価値観のすべてを自分の心として受け入れ、理解し、実践することなど不可能でしょう。社長が共感できないものに、どうして従業員が共感できるのでしょうか。また、社長が実践できないことを、どうして従業員が実践できるのでしょうか。社長がそこに書かれた価値観に100%コミットできなければ、それは絵に描いた餅も同然です。従業員も社長が無視するようなものであれば白けてしまいます。
したがって、私は「自分の価値観」もしくは「自分が理想とする価値観」だけを盛り込むことにしました。これならば、少なくとも社長である私が自分の心として受け入れ、理解し、実践する(実践しようとする)ことができます。
2005年4月に『LR HEART』を発表すると、価値観の合わない人がどっと辞めていきました。その数は10名にも上りました。40名の会社で10名も辞めたわけですから、かなり大きなインパクトです。ところが、それでも一年後の売上高は2倍になっていました。私はその結果を見て、価値観の合わない人たちがどれほど私のベクトルに対してマイナスに作用していたのかを知りました。
辞めていった人たちの顔ぶれを見て、「奇跡的だな」と思ったことがあります。それは、問題があると思っていた人だけが辞めて、一緒にずっと働きたいと思っていた人は誰一人として辞めなかったことです。こうなった理由はおそらく、リッツ・カールトンの人事部長さまからいただいたアドバイスを念頭において『LR HEART』を作ったからです。
私は人事部長さまに「なぜ、世界中のリッツ・カールトンのみなさまは、クレドカードに書かれている内容をきちんと守れるのですか」という質問を投げかけました。すると、「ここには人間として正しいことしか書いていないからです」という答えが返ってきました。その瞬間、私は「それを念頭において作ればライブレボリューションでも間違いなく機能する」という確信を得ました。『LR HEART』の中には、業種、職種、役職に一切左右されない本質的なことだけを書いたのです。従って、『LR HEART』の価値観に合わない人たちが次から次へと辞めていっても、社内の他のメンバーたちに不安や動揺は広がりませんでした。むしろ、当然といった感じでした。
価値観の合わない人たちの退職により、残ったメンバーとの意思疎通、残ったメンバー同士の意思疎通がぐっとよくなりました。物事もスムーズに進むようになりました。お互いの意見に相違が出たとしても、『LR HEART』を基準に結論を導き出すことができるようになりました。感情的なトラブルがほとんどなくなりました。社内の雰囲気も劇的によくなりました。
私は、本当に価値観を統一しようと思うのならば、ストレートに社長の想いを明文化するのが一番よいと思います。結局のところ、企業の文化も、企業の制度も、その多くが社長の価値観を反映することになるからです。
また、突き詰めていくと、どの価値観が本当に正しいのかは誰にもわかりません。私が「問題がある」と見なしていた人たちも、それは単に私の価値観で判断したからなのかもしれません。ですから、社長が「私はこれが好きだ」というものを先に示した上で、「私もそれが好きだ」と言ってくれる人たちと一緒にやるのが、社長にとってもみんなにとっても幸せなことであり、理想的なやり方なのではないでしょうか。
経営理念等を作る目的は、そこで働く人たちの価値観を統一することです。そして、価値観を統一することで得られるメリットは、組織としてより大きな力が発揮できるということです。
学校で習った「ベクトル」を思い出してみてください。そのベクトルと同じで、人の力というのは「大きさ」と「向き」を持っています。みんなの力の向きが異なるよりも同じであるほうが、より大きな力となるのです。
経営理念であれ、『LR HEART』であれ、いずれもその企業としての価値観を言語化・明文化したものであり、これらが価値観の統一にもっとも貢献すると思います。おそらく、それらを作るのに「これ」といった決まりはありません。とはいえ、単にそれらを作っただけではうまくいかないでしょう。
私の場合は、まずネーミングにこだわりました。どこにでもあるような「経営理念」「ミッションステートメント」といった一般的な呼び方は避けたのです。あくまで『LR HEART』という固有名詞にしました。オリジナルな名称にしたほうが、その存在をメンバーから唯一無二の特別なものに感じてもらえるのではないかと思ったからです。それに加えて、「ブランディング」も意識していました。「『LR HEART』といえば、ライブレボリューションの価値観をまとめたカード」と認知してもらえるようにしたかったのです。
次に書き方ですが、大枠こそリッツ・カールトンの『クレドカード』をお手本にしたものの、そっくりそのまま真似したわけではありません。ライブレボリューションに必要だと思う書き方にカスタマイズしています。「企業理念」「経営理念」「宇宙一へのコンセプト」といった部分は私が追加しました。
そして、一般的な経営理念と『LR HEART』の作り方で大きく異なるのが、そこに書かれている内容の決め方です。おそらく、経営理念等を決める際には役員やプロジェクトチームのメンバーで検討を重ねると思います。ところが、『LR HEART』の場合には、誰にも相談せず、すべて私独りで作って決めました。
「経営メンバーにくらい相談してもよいのではないか」という意見もあるでしょう。しかし、社長は最高責任者であり、最終意思決定者です。その社長が考えに考え抜いて作ったものであれば、それに従うのが周りの人たちの務めではないでしょうか。
それまで経営理念のなかった会社であれば、「これから経営理念をまとめよう」といって、トップは、他の経営メンバーたちや経営企画室のメンバーたち、そしてそのために立ち上げられたプロジェクトチームのメンバーたちに経営理念の作成を命じるかと思います。そして、その会社の従業員の誰もが(あるいは、大半の人たちが)共有しているであろう価値観を内容に盛り込むのではないでしょうか。
ところが、このようにして作られたものでは、決して価値観を統一することはできません。まず間違いなく、そこの会社の社長ですら、その価値観のすべてを自分の心として受け入れ、理解し、実践することなど不可能でしょう。社長が共感できないものに、どうして従業員が共感できるのでしょうか。また、社長が実践できないことを、どうして従業員が実践できるのでしょうか。社長がそこに書かれた価値観に100%コミットできなければ、それは絵に描いた餅も同然です。従業員も社長が無視するようなものであれば白けてしまいます。
したがって、私は「自分の価値観」もしくは「自分が理想とする価値観」だけを盛り込むことにしました。これならば、少なくとも社長である私が自分の心として受け入れ、理解し、実践する(実践しようとする)ことができます。
2005年4月に『LR HEART』を発表すると、価値観の合わない人がどっと辞めていきました。その数は10名にも上りました。40名の会社で10名も辞めたわけですから、かなり大きなインパクトです。ところが、それでも一年後の売上高は2倍になっていました。私はその結果を見て、価値観の合わない人たちがどれほど私のベクトルに対してマイナスに作用していたのかを知りました。
辞めていった人たちの顔ぶれを見て、「奇跡的だな」と思ったことがあります。それは、問題があると思っていた人だけが辞めて、一緒にずっと働きたいと思っていた人は誰一人として辞めなかったことです。こうなった理由はおそらく、リッツ・カールトンの人事部長さまからいただいたアドバイスを念頭において『LR HEART』を作ったからです。
私は人事部長さまに「なぜ、世界中のリッツ・カールトンのみなさまは、クレドカードに書かれている内容をきちんと守れるのですか」という質問を投げかけました。すると、「ここには人間として正しいことしか書いていないからです」という答えが返ってきました。その瞬間、私は「それを念頭において作ればライブレボリューションでも間違いなく機能する」という確信を得ました。『LR HEART』の中には、業種、職種、役職に一切左右されない本質的なことだけを書いたのです。従って、『LR HEART』の価値観に合わない人たちが次から次へと辞めていっても、社内の他のメンバーたちに不安や動揺は広がりませんでした。むしろ、当然といった感じでした。
価値観の合わない人たちの退職により、残ったメンバーとの意思疎通、残ったメンバー同士の意思疎通がぐっとよくなりました。物事もスムーズに進むようになりました。お互いの意見に相違が出たとしても、『LR HEART』を基準に結論を導き出すことができるようになりました。感情的なトラブルがほとんどなくなりました。社内の雰囲気も劇的によくなりました。
私は、本当に価値観を統一しようと思うのならば、ストレートに社長の想いを明文化するのが一番よいと思います。結局のところ、企業の文化も、企業の制度も、その多くが社長の価値観を反映することになるからです。
また、突き詰めていくと、どの価値観が本当に正しいのかは誰にもわかりません。私が「問題がある」と見なしていた人たちも、それは単に私の価値観で判断したからなのかもしれません。ですから、社長が「私はこれが好きだ」というものを先に示した上で、「私もそれが好きだ」と言ってくれる人たちと一緒にやるのが、社長にとってもみんなにとっても幸せなことであり、理想的なやり方なのではないでしょうか。



