『ユナイテッドユニッツ』
 給与制度を改革した約2ヵ月後の2006年5月29日(月曜日)午前8時32分、私は経営会議の席上で「事業部制を廃止します」と話を切り出しました。経営メンバーたちからは驚きの声が上がりました。当時のライブレボリューションは、事業ごとに組織を編成する「事業部制」を布いていました。

 「では、どのような組織に変えるのですか」

  その質問に対して私は、「ユニット制に変えます」と答えました。

  実は、そのずっと以前から「ユニット制」の構想を持っていました。ところが、それを実現するための環境が整っていなかったのです。

  「なぜ、事業部制をやめるのですか」

  いろいろありましたが、ひとつは『LR HEART』にこう書かれているからです。


 「基本原則」7項

 徹底的に官僚主義と戦います。無用な形式主義、責任を転嫁するような姿勢、既得特権を守ろうとする行為を認めません。フラットな組織、実力主義、自己責任原則を徹底します。



  私はその中の「フラット化」に挑戦したいと思っていました。ライブレボリューションのメンバーが、100人になろうが、1000人になろうが変わらずフラットな組織を保つためにはどのような組織形態にすればいいのかを考えていました。

  「今後は、ユニットメンバー、ユニットリーダー、経営メンバーの三階層にします」
 
 35人の組織で、メンバー、マネジャー、部長、経営メンバーの四階層だったのを、人数が増えている最中にも関わらず、敢えて三階層に減らそうというのです。

  私には、これまでのやり方を続ける限り、メンバーの人数が増えれば増えるほど、組織の階層化が進んでしまうことが目に見えていました。そこで、「先に階層数を決めてしまって、その階層数でまわる仕組みやシステムを作るべきだ」という結論に達したのです。

  事業部制の廃止とともに従来の「部課長制」も廃止しました。そのため、メンバーが「部長になって100人の部下を持つ!」という目標を立てることはできなくなりました。常勤の経営メンバーは現在四名ですが、この経営メンバーへの昇格もできなくしました。もちろん、外部からスカウトするということもありません。それは永遠にやることはないでしょう。将来像としては社内からの昇進を考えています。しかし、まだよい決め方が見えていないのです。従って、それが思いつくまでは昇格できないという話です。

  事業部制の頃は、事業部の中に「課」がありました。ユニット制に変えることで、事業部というくくりをなくして、課を「ユニット」としました。その際、一ユニットの定員を六名までとするルールを設けました。35名の組織ですと、最少ユニット数は六つとなります。

  ユニットをまとめるのは「マネジャー」という名称ではなく「リーダー」としました。そして、現場に近いほど早く対応できるということで、決済権限は可能な限りリーダーに持たせることにしました。

  私は、温めていたもうひとつのアイデアも経営メンバーたちにぶつけました。

  「それからですね……」

  彼らは、私の言葉を緊張の面持ちで待っています。

  「ユニットの名前は、『営業第三課』とか『経営企画室』とかはやめてですね……『星』や『星座』の名前にしようと思います」

  一同、口をそろえて、「いいんじゃないですか(笑)」と言ってくれました。

  もちろん、そこには、宇宙一を目指す企業として「星の数ほどユニットを増やそう」という想いが込められています。

  星(星座)は生まれては消えてゆく存在であり、一つとして変化しないものはありません。それゆえに歴史や物語が生まれます。

  「どうせ『営業第三課』とか『ソリューションチーム』とか言われても、具体的には何をやっているかなんてわからない。だったら、星や星座の名前でも差し支えはないでしょう。従来のネーミングよりは、愛着がわいていいのではないですか」

  従来のネーミングですと、事業内容や環境が変わるたびに組織が変わり、それにともなって各組織の名称も変わります。それを星や星座の名前にしておけば、ユニット名を変える必要はなくなります。仕事の内容や役割だけを変えればよくなるというわけです。

  せっかく誕生したユニットであれば、長く続いて欲しいと思います。そして、歴史を作って欲しい。そこには、夢やロマンがあってよいのではないでしょうか。

  従来の組織図と新しいユニット制の組織図を比べてみると、とてもフラットになったことがわかります。本当は、フラットというよりも「ネットワーク」に近く、すべてのユニット同士の平均距離が「一次の隔たり」となる「完全グラフ」と呼ばれる形になります(しかし、それは組織図上であって、現実のつながりはさまざまな制約により「完全グラフ」のようにはつながりにくい)。

  「ユニット制にする」と口に出した約1ヵ月後の7月1日、その組織形態の名称を『ユナイテッドユニッツ』とし、この新しい体制をスタートさせました。偶然にも、最初のユニット数が12個でしたので、まずは「黄道12星座」の名前をそれぞれのユニットにつけることにしました。


  Aries(アリエス:牡羊座)……システム担当
  Taurus(タウラス:牡牛座)……経理・総務担当
  Gemini(ジェミニ:双子座)……クリエイティブ担当
  Cancer(キャンサー:蟹座)……財務担当
  Leo(レオ:獅子座)……営業担当
  Virgo(バルゴ:乙女座)……メディアマーケティング担当
  Libra(ライブラ:天秤座)……採用・教育担当
  Scorpius(スコーピオン:蠍座)……営業担当
  Sagittarius(サジタリアス:射手座)……経営執行担当
  Capricornus(カプリコーン:山羊座)……プレジデントビジョン運営・広告営業担当
  Aquarius(アクエリアス:水瓶座)……営業担当
  Pisces(ピスケス:魚座)……経営企画・内部監査・広報担当



  今後も、新しいユニットが続々と増え続けていくでしょう。